2014年10月03日

8・6水害後の様子

水害後の鹿児島市内の様子を、当時の南日本新聞から拾ってみました。
鹿児島市街地では、ちょっとしたパニックが起こっていたようです。
あらかじめお断りしておきますが、当時の市民生活のほんの一部分を記載しています。

生活混乱
8月9日付南日本新聞16面「社会部日誌」
「洪水で水攻めに遭ったうえ、水を断たれて泣かされている。電気や電話もないと困るが、水は生命線だけに生活に直接響く。
いつまで断水は続くのか、一番知りたい。2,3日なら我慢もできるが、これが1週間もなると、考えるとゾッとする。
昭和60年の台風13号が頭をよぎる。1週間の停電で市民生活はパニック状態に陥った。
今度は水攻めのあとの断水。
水が出るのが水害なら、水が出ないのも水害。シャレにもならない。
水害のダブルパンチに、うんざりだ。」

水の問題は深刻で、飲料用としてだけでなく、洗濯やトイレにも支障をきたしていました。
水害が発生したのは8月、ただでさえ喉の乾く季節、健康への影響も心配する人もありました。

豪雨によって河頭浄水場と滝之神浄水場が損害を受けたため、断水が発生。
甲突川と稲荷川の氾濫によって、濁流が取水・浄水・送水施設を使用不能にしたのでした。
鹿児島市水道局の日間給水能力は25万トン。そのうち、河頭浄水場と滝之神浄水場は6割の15万トンを占めていました。
残り10万トンを供給するほかありませんでした。

水量が減り給水圧力も低下したことから、高台にある団地や市街地は完全断水に陥ってしまいました。
被害を受けなかった平川浄水場は、あまりに遠く、その他の地域も水の出が悪くなっていました。
そうして、団地の配水タンクは空っぽになっていたそうです。

8日朝から、37台の給水車が団地などへ出動することになりました。37台のうち25台は自衛隊の車両でした。
同日午後には、車両を増やして補給を繰り返したそうです。
給水車の止まる所には、ポリバケツやヤカン、水筒、クーラーボックス、空き瓶などあらゆる容器を手にした人々が押し寄せたそうです。
もらえる量に制限があったうえ、頼みの給水車が渋滞に巻き込まれ動きが鈍いことに、市民のなかには不満を募らせる人もありました。

8月9日付南日本新聞19面「水でない、市民パニック」
炊飯・トイレストップ 完全復旧は14日前後
「豪雨禍から二日経った8日、鹿児島市は広範囲に断水が続いた。ご飯は炊けず、水洗トイレも使えず、パニック状態。自衛隊などの給水活動も文字通り焼け石に水。
“生活できない”と市民は悲鳴を上げた。
水道は徐々に復旧する見通しだが、完全復旧は14日前後になるもようだ。」

記事には、市民のインタビューが掲載されていました。
「トイレが一番困る。ためていた水も残り少ない。飲み水は我慢している。」
「広報のマイクが聞こえにくい」など。

水や食糧を求めて、人々はスーパーへ詰めかけました。
「飲料を求めて、市内のスーパーなどには市民がつめかけた。タイヨー大竜店は、ミネラルウオーターなど1人1本ずつと呼びかけたが、まとめ買いする人が多く、すぐに売り切れた。断水で店自体も大困り。
地下水で賄っている銭湯は平常通り営業。自宅の風呂を使えない人たちでごった返し、普段の3倍も客の入った所もあった。」

当時の様子を同僚に聞いていたところ、銭湯では髪の長い客を断るといった場面もあったそうです。

記事は、次のように締めくくっています。
「河頭浄水場は8日、4万トンぶん復旧した。全面復旧までは1週間近くかかる見込み。
滝之神はメドがついていないものの、河頭の復旧により、市全体の通常の需要に対応できるという。
鹿児島市水道局は9日、給水車を113台に増やす。
水道部長、“全力で早期復旧に努めたい。市民もできるだけ節水に協力を”と呼びかけている。日置郡郡山町も一部断水中。」

同日新聞に、「マスクで防ぐ」と題した写真が掲載されています。
8日午後1時半ごろの、西田二丁目の風景を撮影したものです。
その日は、とても良い天気であったらしく、泥が渇き、砂塵が街にまっていたようです。
自転車を押して歩く女性が、マスクをしています。
時期は8月、そのうえ晴天、のどの渇きは如何ばかりであったでしょうか。

8月11日付南日本新聞16面「かごしま都市圏」
“物不足、知恵生かして乗り切ろう”と題する記事が掲載されていました。
見出しだけ読むと、戦中・戦後のスローガンのようですが、平成5年のものです。
平成5年は冷夏であったためか、農作物の生産がふるわず、価格も高騰していました。
そこに長雨と集中豪雨でありましたから、体調不良を訴える人々もいました。
記事では、野菜や水不足への対応策が掲載されていました。

「集中豪雨に次いで、台風7号に追い打ちをかけられ、鹿児島県内各地で水不足や野菜不足が続いている。市民のなかには、体の不調を訴えている人もいる。そこで野菜、水不足の対応策を聞いた。
野菜不足で一番問題なのは、繊維質が不足すること。繊維分が足りないと通じが悪くなり、不快感が出て、ひどくなると便秘になってしまう。
また、カリウム不足にもなり、ナトリウムとのバランスが崩れ血圧変調が起き、血圧コントロールなどに影響が出ることがある。

水不足も深刻で、鹿児島市などは約7.5万世帯が断水している(10日午前現在)。なかでも心配されるのは、水が少ないといって水分補給を我慢すること。
若い人は体が自然に水を要求しますが、あまり汗をかかないお年寄りは脱水症状に気づかないことがあります。
それに物を言わない赤ちゃんに気づかなくてはなりません。
緊急時は衛生面を考え、煮沸した水や缶入りのお茶、ウーロン茶、牛乳、ジュース、果物、汁物などからとること。」

食糧・ゴミ・消毒
集中豪雨から二日経った8日も、鹿児島市では復旧作業が進まず、市民生活は混乱していました。
冠水した家屋の清掃に追われ、掻きだされたゴミや土砂は回収されることなく道路や歩道に山積みされていました。
国道沿いには浸水した家庭の畳や冷蔵庫、家具などがずらり並んでいたそうです。
清掃局では甲突川や新川、稲荷川周辺を中心に回収作業を進めていましたが、量が多く、いつ終わるのかメドの立たない状況であたそうです。

【 物 流 】
それまでの長雨と6日の集中豪雨によって、各地の道路が寸断されたことから物流が大きな影響を受けてしまいました。
スーパーなどでは、輸送ルートを確保して配送していました。
各地で発生する交通渋滞によって、到着が大幅に遅れるという状況にあったそうです。

物流が滞ると、消費者にも大きな影響を与えました。
食糧をもとめて、市民たちはデパートやスーパーに押し寄せたため、すぐに品切れとなったそうです。
断水で調理できないため、弁当やパン、惣菜、インスタントラーメンなどが品切れ状態でした。
某スーパーでは、メーカーから届いたばかりのパンを並べようとすると、客がワッと群がりたちまち無くなったそうです。
他のスーパーではオニギリの需要が高く、普段の6倍も売り上げたそうです。

【 消 毒 】
鹿児島市内では、多くの家屋が床上・床下浸水の被害を受けました。
そこで伝染病防止のための作業を直ぐに行う予定でしたが、台風7号接近のため延期せざるをえませんでした。台風接近前に散布しても、効果がないそうです。
また、浸水家屋の調査が終わっていないこと、薬剤も不足していたそうです。

水害から2日間は天気に恵まれたようですが、南の海上には大型で非常に強い台風7号が鹿児島に接近しつつありました。
posted by ぶらかご.com at 23:39| Comment(0) | 鹿児島の災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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