2014年10月12日

平成5年9月20日の地滑り 旧日吉町毘沙門

■ 旧日吉町毘沙門
平成5年9月20日午後8時頃、日置郡日吉町毘沙門で大規模なガケ崩れが発生しました。
2世帯5人が生き埋めとなり、3人は救助されましたが2人が帰らぬ人となってしまいました。
崩れた土砂は2棟の民家を飲み込み、町道を超えて大川まで達していたそうです。

毘沙門地区のガケ崩れは、これまでの災害発生状況と大きく異なっていました。
というのも、当時、梅雨前線が九州南岸で停滞していましたが、日吉町付近の降水量は2,3o程度でありました。
また午前中、小雨がぱらついた程度で、役場の観測では6oであったそうです。
そのため警報は発令されていませんでした。

これまでの長雨と戦後最大級の台風といわれた9月2日の13号のもたらした雨で、山はたっぷり水を含んでいたようです。
鹿児島大学理学部地学科のホームページによると、毘沙門の花崗岩は深い層の所まで風化が進み、砂質の真砂土になっていたことが原因であったようです。
風化した花こう岩は脆く、叩けばすぐ崩れてバラバラになるそうです。

今年、広島市で起きた土砂災害も、風化が進んだ崩れやすい花崗岩によって形成された“マサ土”の地質が広がっているそうです。

■ 災害に関する地名 
地名は、古の人々がその土地に相応しい名前を名付けたものだそうです。
その名前を言えば、同じ共同体に住む者たちは、すぐにわかるものでありました。
地名には、その土地の性質や地形、災害などを意味しているものもあるようです。
地名のなかには、時代の変遷とともに名前を変えられてしまったものも少なくありません。
今年、広島県で発生した土砂災害の被害を受けた地区もそうでした。
地名学という分野で地名研究を行っているようですが、日本では学問分野として確立されていないそうです。そういう意味では、素人でも入って行きやすい分野かもしれません。

【 ビシャ・ビシャモン 】
鹿児島大学理学部地学科のホームページに、毘沙門の地名に関する記事が掲載されていました。
ビシャは、一般にミサゴと呼ばれる鳥のこと。魚を捕えるため海にビシャンと突っ込むさまと、山腹が滑り落ちるさまを表したものだそうです。また、毘沙門信仰との関係から“土地の神”を鎮める意味もあるとのことです。

【 ヘ ビ(蛇)・竜 】
『角川日本地名大辞典』によると、「蛇(じゃ)」という名は、土砂の流出や体積を表しているそうです。
また、水の流れや土石流が流れる様子を、蛇がのたうち回る様を例えたものだそうです。
蛇池(じゃいけ)・蛇崩(じゃくずれ)・蛇喰(じゃばみ)など。

先月のNNNドキュメントによると、今年広島市安佐南区八木地区を襲った土砂災害、かつてこの地は、「蛇落地悪谷(じゃらくじあしだに)」と呼ばれていたそうです。
八木蛇落地悪谷と呼ばれていた地名が、いつしか「上楽地(じょうらくじ)」となり、「八木上落地芦谷(やぎじょうらくじあしや)と言うようになったそうです。
今では「八木」という名前だけが残されてしまいました。

八木地区にある「浄楽寺」の言い伝えによると、「むかし、竜が住んでいたそうです。あるとき、竜の首をはねると何処かへ飛んで行きました。首が落ちたところを蛇落地と呼ぶようになったそうです。」
蛇落地の名は、鉄砲水や土砂崩れなどを経験した古の人々が、危険な所という意味で名付けたもののようです。

鹿児島でも竜に関する民話は多いのですが、筆者はまだ自然災害に関するものに出会っていません。竜がお坊さんから功徳を得る話が多いようです。
雨と嵐をともなったものとおもわれる話を下に書きだしてみました。
竜の化身(旧祁答院町)
皇徳寺の池 大蛇の話(鹿児島市谷山)

【 ヒ ラ(平) 】
急傾斜地やガケ地を表し、古事記に出てくる「ひらさか」は坂道や滑りやすい土地をいうそうです。
国土交通省中国地方整備局太田川河川事務所のサイトによると、「ヒラ」は昔「ピラ」と発音され、「平」の字があてられていたそうです。平野などを連想しそうですが、そうではなく、ある地点が崩壊する意味で使われるそうです。
鹿児島市平之町の「平」も、崩れるという意味になりそうです。
昭和61年7月10日の豪雨で、平之町にある山のガケが崩れて死亡者を出してしまいました。


学問として確立していないにかかわらず、地名に関する本は結構出版されているようです。
最寄りの図書館に蔵書があるかもしれません。参考にしてみてください。
この地名が危ない (幻冬舎新書)』幻冬舎
地名は災害を警告する ~由来を知り わが身を守る (tanQブックス)』(tanQブックス)
地名は警告する―日本の災害と地名』(谷川健一)
日本の地名 (岩波新書)』(谷川健一・岩波新書)など。
posted by ぶらかご.com at 18:25| Comment(0) | 鹿児島の災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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