2015年06月02日

戦争体験集

以前、『鹿児島市戦災復興誌』や『鹿児島市史』、『鹿児島県史』などから鹿児島市の戦災に関する記事を掲載しました。先々月あたりから戦争体験集を読み始めています。
体験集を集め読み始めたきっかけは、3月18日の鴨池航空隊の空襲でした。
戦災復興誌では航空隊施設が被害を受けたとありますが、正確な数は分かりませんが、民間人も犠牲になっていました。このときの死者は8人と復興誌などには記されていますが、体験集によれば30名ほどの航空隊員が亡くなっていたようです。
この日の空襲につきましては、後日触れる予定にしています。

さて戦争体験集を読んでいますと、被災状況をかなりリアルに書いているものもあります。
読んでいて辛くなったり、生々しい描写に気分の悪くなるものさえあります。
筆者が目を通した体験集は、まだまだ数が少ないのですが、そこに共通することは「二度と自分たちを同じ思いをさせたくない」という強い気持ちがあるようです。
また空襲によって障害を負わされた被災者や戦災孤児たちには、戦後まったく補償されていないということも分かってきました。

鹿児島市の場合、初めて空襲を受けたのは昭和20年3月18日のこと。終戦までのたった5ヶ月間で死者3329人、負傷者4633人、行方不明35人、その他10万7388人という大きな被害を被ったそうです(鹿児島市戦災復興誌の罹災状況から)。
これら死傷者の数は、判明したものに限ったもので、実際はもっと多かったように思われます。
それについては、3月18日の空襲のところで触れてみます。

戦争体験集
南日本新聞社ではこの年、「鹿児島空襲」という戦争体験の連載を85回掲載しています。
筆者が目を通した戦争体験集のなかで、もっとも古いものになります。
また同年1月14付の新聞では、空襲体験募集と戦争体験者三人による座談会の記事が掲載されています
記事の冒頭、空襲体験を募集する意味を次のように記しています。

「本社はいま鹿児島県内の空襲体験記を、県民諸者の方から募っています。いまになって被災記録をまとめようとするのは、鹿児島県内は全国でも有数の被爆地でありましたが、全権的な記録はまだ整備されていないからです。戦後、四半世紀以上を経て、もはや戦後ではないといわれます。しかし、あの空襲の体験は、一生忘れることのできないことだと思います。悲惨な思い出を、二度と繰り返さないために、庶民の目に焼き付いた空襲の体験を正確な記録に残して、後世に残す義務があると考えます。」

当時、全国20以上の都市で「空襲・戦災を記録する会」の運動が盛んに進められていたそうです。昭和47年8月12日付南日本新聞に、「全国に広がる空襲・戦災の記録運動」といいう記事が掲載されています。
運動が盛んになった根底には、国内での空襲被災の記録が残されていないこと。四半世紀以上経った昭和47年、空襲に遭った体験を持つ人たちの年齢も高くなり、いま記録を作っておかないと、後世に伝えられないという危惧があったようです。
すでに徳島、富山、神戸、名古屋、青森、大阪、那覇、北九州、東京などでは記録を集めた冊子や単行本が刊行されていました。
鹿児島をはじめ、これに続こうとする地方も多くなっていたそうです。
また、戦時中を描こうとすると、当時の新聞は正確な被災状況を伝えていません。
そこで多くの体験談を集め、その中から当時の歴史を構成しようという考えがあったようです。

同記事では、「無視された庶民の感情」として次のように記しています。
「戦後、空襲被災者には全く補償に値するものがなされなかった。被害を受けた庶民は無念の気持ちをかみしめたまま27年間を過ごしてきた。経済大国といわれる繁栄と平和の中に戦争の記録が薄れて行き、軍靴(ぐんか)の音すら聞こえてこないわけではない」

この当時、軍靴の響きを危惧するような事態が国の中枢であったのかもしれません。

鹿児島の戦争体験集
今のところ、筆者が目を通した戦争体験集で最も古いものは『鹿児島空襲』(南日本新聞昭和47年連載)になります。
その次が、『鹿児島県の空襲戦災の記録 第1集鹿児島市の部(鹿児島県の空襲を記録する会)』昭和60年刊になります。

なかには、記憶が混同していると思われる記述もあるようです。また、鹿児島市が初めて空襲をうけたのは昭和20年3月18日ですが、体験集のなかには4月8日を初めてのものとする記述もあります。
そこには、当時の居住地域・報道管制など事情から、記憶違いとは簡単にいえないところもあるようです。
その辺を少し整理しつつ読み進めていることから、時間がかかっています。
気長にお待ちいただければ、助かります。

これまで参考にした体験集は下記のとおりです。
1.鹿児島県の空襲戦災の記録 第1集鹿児島市の部(鹿児島県の空襲を記録する会)
2.終戦六十周年戦争体験文集・伝えたい私からあなたへ 戦争の悲惨さと平和の尊さを(生活協同組合コープかごしま)
3.語り継ぎたい戦争と空襲の体験(かごしま県民生活協同組合)平成元年刊行
4.忘れまい、あれから五〇年(コープかごしま)
5.戦争体験文集五十年目の真実、次世代への伝言(鹿児島県老人クラブ連合会)
6.戦後六十年平和を祈って語り伝えたい私達の戦争体験(鹿児島県老人クラブ連合会)
7.南日本新聞連載「鹿児島空襲」昭和47年
8.南日本新聞連載「60年目の証言」
9.南日本新聞ひろば
10.動員学徒殉職50年追悼式典記念文集(鹿児島高等学校)
11.不断の響き(旧制鹿児島中学校同窓会・平成9年刊)
12.実践学園七十年史(昭和52年刊)
13.私の戦争体験 (上) (かごしま文庫 (23))
(春苑堂出版)など。
posted by ぶらかご.com at 00:32| Comment(0) | 鹿児島の近代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする