2023年09月20日

平和学習に関する新聞記事

 平和学習を担当する教員の約7割が、困難を感じると回答したそうである。2023年8月16日付毎日新聞から。

 同紙は全国47都道府県の小学校130校に質問票を配布。平和学習を担当する教諭111人から回答を得た。記事は、困難と考える理由をいくつか挙げる。そのなかで気になった3点について触れる。

 一つ目は、「自分自身が戦争体験者じゃないため、子供に聞かれて答えるのが難しい」(32人)。
どうにも理解に苦しむ理由である。生徒たちからの問いに、上手く答えられないもどかしさが原因かもしれない。

 二つ目は、「体験者の生の声を聞かないと、当時の人の思いや願いについて学習を深める際に難しさを感じる」。
 彼らが証言する姿を動画にして残す活動もある。だが、彼らに尋ねることができないという短所もある。また、戦争体験者の証言にこだわっているのも気になる。

 これについて、広島大学院教授の草原和博さんが鋭い指摘をなさっている。

 戦争体験者の聞き取りという授業にこだわってきたことの限界があわらになっている。子供たちがただ聞くだけでなく、すでにある資料館の展示物や漫画などを使って当時をいかに記憶すべきかを議論する平和学習を考える必要がある。

 草原さんの意見に同感である。戦争体験者がまったく居なくなる日は、確実に来る。
新聞が報道する戦争体験を読んでいると、証言にこだわっている気がする。その証言を裏付けようとする記事はない。
なかには、証言を基にして戦災を記す記事に接することがある。そのたびに、違和感を覚える。これについて、以前ふれた。報道する際は、体験談を裏づけをとったうえで記事にする必要があると思う。

田辺航空工業鰍ノ関する戦争体験談
枕崎空襲の新聞記事を読んで

三つ目は、「郷土の戦火や原爆に関する知識が乏しい」(31人)である。
これについて、東京都と横浜市は他の都市とくらべて容易いかもしれない。
『東京大空襲・戦災誌』(全5巻)と『横浜の空襲と戦災』(全6巻)が出版されているからである。米軍資料と行政文書、戦争体験談がふんだんに網羅されている。
筆者は、両書をちょくちょく参考にしている

 鹿児島県の平和学習はどうか。地元メディアの報道がないため、よくわからない。
地元紙の投稿欄に目を通していると、子どもたちが特別攻撃隊に関する感想を寄せている。
今年8月15日付南日本新聞・ひろばに、小学6年生の投稿文に目がとまった。

 その生徒は平和学習で、特攻平和会館で語り部の講話を聞いたそうだ。そして、「多くの若者が国のために命を失った」と説明を受けたそうである。
子どもたちに特攻を伝えるのに、その表現でよろしかろうかと、考えてしまった。
筆者は特攻について、意見すらいまだに持てないでいる。

参考文献
 毎日新聞 2023年8月16日付
 南日本新聞・ひろば 2023年8月15日付
posted by 山川かんきつ at 06:02| Comment(0) | 鹿児島と戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする