2023年11月25から26日にかけて、鹿屋市で同交流会が行われたそうだ。
慶應大学教授の安藤広道さんをはじめ、工藤洋三先生、八巻さん、織田さんなどそうそうたる研究者たちの発表があった。
記事に目を通しながら、ひとつ思うところがあった。
「なぜ鹿屋市街地が空襲に遭わなかったのか? 基地を占領したあとに市街地を接収する予定で空襲を避けたという見解もある」
鹿屋市の戦争体験談に目を通している際に、読んだおぼえがある。
戦時中から終戦後にかけて、正確な情報を得られない状態が続いただろう。鹿屋市の人々が疑問に思ったことが、風説となったのだろうと考えた。
交流会の質疑応答で、このことが取り上げられた。
「市街地は盆地になっていて、地形的に攻撃するには難しい場所でもあり、低空飛行をすると基地周辺の高射砲等に狙われる危険性もあり、周辺の爆撃となったのでは」との回答があったそうだ。
記事を読み進めるうちに、米軍資料の記述を思い出した。1945年5月15日の日付が入った資料である。文書は、こう記す。
Due to the nature of the terrain, the airfield of southern KYUSHU, in general, are found in the regions. Notable exceptions occur in the vicinity of KANOYA and MIYAKONOJO.
直訳してみる。
南九州の飛行場は地形の性質上、概して沿岸地帯に見られる。鹿屋と都城の近郊で、注目すべき例外を見いだせる。
同文書は、米軍設定の南九州に飛行場を22ヶ所見いだしている。

「SAKITA ASS(崎田水上基地)は、補助的な基地にして限定的適用のため、本文では21ヶ所としている。
これらの飛行場のうち、鹿屋航空基地は最も重要な攻撃目標と定めていたようである。
米軍文書はつづける。
The KANOYA airfield, target of recent carrier and B-29 raids, is the most important field in southern KYUSHU.
直訳する。
艦載機とB29の最近の空爆目標である鹿屋飛行場は、南九州で最も重要な飛行場である。
文書は、鹿屋航空基地に隣接する工場についても記す。
Situated at the airfield is the 22nd Naval Air Depot which provides extensive aircraft maintenance, repair, and possibly production facilities.
航空機の整備や修理、生産など広範囲に提供する第22海軍航空廠が、鹿屋飛行場にある。
同文書に目を通しつつ、米軍の分析力に驚かされる。気づいたことがある。
米軍は公開情報や捕虜の情報、偵察写真などを総合的に分析しながら各施設を特定しているようだ。
最近、新聞紙上で目にする情報分析のひとつ、「OSINT」を活用していたと思われる。
同文書の各所で、分析力のすごさを痛感する。
やはり、米軍やUSSBSなどの文書は、第一級資料である。
■参考文献
「鹿屋市街地は盆地であり地形的に攻撃するには難しい場所」 2023年12月1日付南九州新聞