姪の家に遊びに行った。彼女はシンママながら、男の子3人の子育てに奮闘中である。
長男は中学2年生。前の週に、修学旅行で長崎、福岡、熊本に行ったらしい。
長崎は「原爆資料館」を訪れた。どんな風に感じたか、尋ねてみた。
どう答えてよいのか困っている様子。
表情や言葉の端々から察するに、ショックを受けたようである。無理もない。
原爆の実態を伝える展示物を見て、衝撃を受けぬ人はいないだろう。
鹿児島に居ると、戦争に関する報道が少ない。
戦災の実態を伝える写真や遺物を見慣れていないため、頭を整理できないでいるかもしれない。
彼と話しているうちに、映画「オッペンハイマー」を伝える新聞記事を思い出した。
同映画は「原爆の実態を伝えていない」と書いていた。
記事を読みながら思った。被害の実態を映画で表現したら、見る側は卒倒するか気が変になりはしないか、と。
今月10日付朝日新聞be、「7年後の報道 歴史が命ず」に目をとおした。
被爆者の写真が掲載されている。顔に火傷を負っている写真が並ぶ。蓆に横たわる女性の顔は焼けただれ、目がどこにあるのか分からない。
頭に包帯を巻いた男性の顔も焼けただれ、口がわずかにわかる程度。
写真を見るだけでも、原爆の惨状は伝わってくる。
モノクロだから、衝撃が弱まっているのかもしれない。カラー写真だと直視できないだろう。
最近の「YouTube」で、昔の写真をAIでカラー化し動きまで表現している作品をみた。
特攻兵をはじめ、学徒、従軍看護婦などがカラー化されている。彼らは笑ったり、手を振ったりする。
イメージするには有効なツールと思う。だが、見る側が鵜呑みにしてしまう恐れがある。
しっかりした時代考証を経ていれば良いのだが・・・。
朝日新聞に掲載された被爆者の写真。これらもまた、カラー化され動きを加えた映像が出てくるかもしれない。
■参考文献
朝日新聞be 2025年5月10日付
2025年05月21日
2025年05月16日
カレーパンの謎
これは本当にあったお話です。創作ではありません。
おととしの夏、コロナウイルスに感染した。具合の悪さに3日ほど動けず、仕事を1週間休むことになった。
筆者はヘビースモーカーである。徐々に体調が戻ると、タバコを吸いたくて仕方がない。
その日は出勤日、自宅の近くにあるコンビニへと足を運ぶ。そこで事件は起きた。
「セブンスターのソフトを2個」
「カレーパン?」
「えっ!? セブンスターのソフトを2個」
年配の女性店員は、「セブンスターね」と言いながらタバコのバーコードをスキャンする。支払いをすませると、灰皿のある場所へと移動する。
タバコに火をつけると、むせた。1週間ぶりの喫煙に肺が驚いたらしい。
煙をくゆらせつつ、カレーパンに思いを馳せる。
先ほどレジで、筆者の後ろに並んでいた紳士がやってきた。
「どうして、カレーパンだったんでしょうね?」と、紳士が話しかけてきた。
むせながら答える。
「活舌が悪かったでしょうか。終日、カレーパンにとらわれそうです」
いつもの昼下がり、職場にて。
職場の同僚である女性が話しかけてきた。
「今日は一段と機嫌が良いですよね。何か良いことありました?」
かくかくしかじか、カレーパンの話をして差し上げる。
彼女はゲラゲラ笑いだす。そうして、「うける〜!」と、言いながら何処かへ行った。
席に着くと、同僚のアナドレンが話しかけてきた。
「カレーパン、どこのお店ですか?」
アナドレンが続けて言う。
「ライン見ました? 早く返信しなきゃ。みんな待ってますよ」
スマホを見ると、ラインに大量の書き込みあり。
仕事の用件でラインを送ると、うんともすんとも返事をよこさぬ。カレーパンのネタになると反応がすこぶる良い。
にしても、情報伝達のスピードは恐るべし。今しがた話したばかりなのだが、既に情報が渡っている。
悪事千里を走るか、一瀉千里か。情報伝達の速度は、侮れない。
それから二日後。
先述のコンビニで、セブンスターのソフトを買い求めた。
今や遅しと、年齢認証ボタンを押さんと構えていると、280円が表示される。
「あれ!?」
モニターを見ると、小さな文字で「ポケットモンスター」と表示されている。
30代と思われるお姉さんに、「セブンスターのソフトだよ」と問いかける。
お姉さんは笑ったかと思うと、セブンスターを取りバーコードをスキャンした。
「申し訳ありません」
「いいね!」と、答える。
連チャンかよ、と思いつつ店を後にする。
なんだかんだいって、そのお店に対して付加価値を感じ始めている。
■関連記事
「食べたくなるなる伊集院まんじゅう」
http://burakago.seesaa.net/article/503611637.html
おととしの夏、コロナウイルスに感染した。具合の悪さに3日ほど動けず、仕事を1週間休むことになった。
筆者はヘビースモーカーである。徐々に体調が戻ると、タバコを吸いたくて仕方がない。
その日は出勤日、自宅の近くにあるコンビニへと足を運ぶ。そこで事件は起きた。
「セブンスターのソフトを2個」
「カレーパン?」
「えっ!? セブンスターのソフトを2個」
年配の女性店員は、「セブンスターね」と言いながらタバコのバーコードをスキャンする。支払いをすませると、灰皿のある場所へと移動する。
タバコに火をつけると、むせた。1週間ぶりの喫煙に肺が驚いたらしい。
煙をくゆらせつつ、カレーパンに思いを馳せる。
先ほどレジで、筆者の後ろに並んでいた紳士がやってきた。
「どうして、カレーパンだったんでしょうね?」と、紳士が話しかけてきた。
むせながら答える。
「活舌が悪かったでしょうか。終日、カレーパンにとらわれそうです」
いつもの昼下がり、職場にて。
職場の同僚である女性が話しかけてきた。
「今日は一段と機嫌が良いですよね。何か良いことありました?」
かくかくしかじか、カレーパンの話をして差し上げる。
彼女はゲラゲラ笑いだす。そうして、「うける〜!」と、言いながら何処かへ行った。
席に着くと、同僚のアナドレンが話しかけてきた。
「カレーパン、どこのお店ですか?」
アナドレンが続けて言う。
「ライン見ました? 早く返信しなきゃ。みんな待ってますよ」
スマホを見ると、ラインに大量の書き込みあり。
仕事の用件でラインを送ると、うんともすんとも返事をよこさぬ。カレーパンのネタになると反応がすこぶる良い。
にしても、情報伝達のスピードは恐るべし。今しがた話したばかりなのだが、既に情報が渡っている。
悪事千里を走るか、一瀉千里か。情報伝達の速度は、侮れない。
それから二日後。
先述のコンビニで、セブンスターのソフトを買い求めた。
今や遅しと、年齢認証ボタンを押さんと構えていると、280円が表示される。
「あれ!?」
モニターを見ると、小さな文字で「ポケットモンスター」と表示されている。
30代と思われるお姉さんに、「セブンスターのソフトだよ」と問いかける。
お姉さんは笑ったかと思うと、セブンスターを取りバーコードをスキャンした。
「申し訳ありません」
「いいね!」と、答える。
連チャンかよ、と思いつつ店を後にする。
なんだかんだいって、そのお店に対して付加価値を感じ始めている。
■関連記事
「食べたくなるなる伊集院まんじゅう」
http://burakago.seesaa.net/article/503611637.html
2025年05月10日
歴史修正主義とレイシズム
「歴史修正主義」なる言葉がある。
『アジア太平洋戦争辞典』は、こう記す。
日本の戦争や植民地支配について肯定的に再評価しようとする研究や政治動向も指す。その手法は、歴史事実から恣意的に切り取った一部を批判することで全体を否定するというものである。
また日本の歴史の連続性、独自性、優越性を強調し、排他的な対外認識、多様性の乏しい自国中心的な歴史観を特徴とする。
1990年代以降、日本の戦争や植民地支配が生んだ負の歴史、今日まで残された未決の問題について扱うことを「自虐的」「反日的」だと批判し、日本軍「慰安婦」や南京大虐殺、沖縄戦における「集団自決」などの存在を否定する歴史観がメディアや大量消費文化のなかで広がりをみせている。
なるほど。
辞典が記す視点で書かれた書物に、目を通したことがない。そのため、「歴史修正主義」と言われる言説に触れた経験がない。
沖縄戦の解釈で、騒動をおこした国会議員がいる。新聞が数日にわたって取り上げた。
本日付の朝日新聞は、その先生が「ひめゆり」について謝罪するも、沖縄戦の解釈は撤回しない旨を伝えた。
「自分の言っていることは事実だ。問題は事実(かどうか)ではなく、県民の感情を分かっていなかったことだ」、と発言されたらしい。
先生にとっての真実、「Post Truth」かもしれない。
事実を述べているそうだから、しっかりした根拠をお持ちなのでしょう。ならばそれを提示してもらえばいい。記者さんたちは、先生に申し込まれたらいかがだろう。
その根拠をみなで分析すれば、はっきりする。
■ルース・ベネディクト
文化人類学者Ruth Benedictの著書に、『レイシズム(racism)』がある。1940年に書かれている。次のような記述がある。

レイシズム (講談社学術文庫) - ルース・ベネディクト, 阿部大樹
レイシストに特徴的なのは、自分たちの主張を根拠づけるために絶えず歴史を書き換えるところである。歴史を修正することによって、一個人に過ぎない存在にどうにかして紋章を、しかも物理法則のように絶対的不変の輝かしい紋章を与えようとするのだ。
彼女は、こうも述べる。
科学的根拠のあるレイシズムはない。
どうやら、民族主義や人種的偏見は歴史修正主義とつながるようだ。
「ポスト真実」は、歴史修正主義やレイシズムなどが根底にあるかもしれない。
■参考文献
『アジア太平洋戦争辞典』(吉川弘文館・2015年)
「西田昌議員発言 沖縄戦の歴史ゆがめる」(2025年5月9日付朝日新聞社説)
「ひめゆり発言謝罪」(2025年5月10日付朝日新聞)
「西田議員「ひめゆり」発言 沖縄の尊厳傷付ける暴論」(2025年5月9日付毎日新聞社説)
『レイシズム』(ルース・ベネディクト、講談社学術文庫、2020年)
『アジア太平洋戦争辞典』は、こう記す。
日本の戦争や植民地支配について肯定的に再評価しようとする研究や政治動向も指す。その手法は、歴史事実から恣意的に切り取った一部を批判することで全体を否定するというものである。
また日本の歴史の連続性、独自性、優越性を強調し、排他的な対外認識、多様性の乏しい自国中心的な歴史観を特徴とする。
1990年代以降、日本の戦争や植民地支配が生んだ負の歴史、今日まで残された未決の問題について扱うことを「自虐的」「反日的」だと批判し、日本軍「慰安婦」や南京大虐殺、沖縄戦における「集団自決」などの存在を否定する歴史観がメディアや大量消費文化のなかで広がりをみせている。
なるほど。
辞典が記す視点で書かれた書物に、目を通したことがない。そのため、「歴史修正主義」と言われる言説に触れた経験がない。
沖縄戦の解釈で、騒動をおこした国会議員がいる。新聞が数日にわたって取り上げた。
本日付の朝日新聞は、その先生が「ひめゆり」について謝罪するも、沖縄戦の解釈は撤回しない旨を伝えた。
「自分の言っていることは事実だ。問題は事実(かどうか)ではなく、県民の感情を分かっていなかったことだ」、と発言されたらしい。
先生にとっての真実、「Post Truth」かもしれない。
事実を述べているそうだから、しっかりした根拠をお持ちなのでしょう。ならばそれを提示してもらえばいい。記者さんたちは、先生に申し込まれたらいかがだろう。
その根拠をみなで分析すれば、はっきりする。
■ルース・ベネディクト
文化人類学者Ruth Benedictの著書に、『レイシズム(racism)』がある。1940年に書かれている。次のような記述がある。

レイシズム (講談社学術文庫) - ルース・ベネディクト, 阿部大樹
レイシストに特徴的なのは、自分たちの主張を根拠づけるために絶えず歴史を書き換えるところである。歴史を修正することによって、一個人に過ぎない存在にどうにかして紋章を、しかも物理法則のように絶対的不変の輝かしい紋章を与えようとするのだ。
彼女は、こうも述べる。
科学的根拠のあるレイシズムはない。
どうやら、民族主義や人種的偏見は歴史修正主義とつながるようだ。
「ポスト真実」は、歴史修正主義やレイシズムなどが根底にあるかもしれない。
■参考文献
『アジア太平洋戦争辞典』(吉川弘文館・2015年)
「西田昌議員発言 沖縄戦の歴史ゆがめる」(2025年5月9日付朝日新聞社説)
「ひめゆり発言謝罪」(2025年5月10日付朝日新聞)
「西田議員「ひめゆり」発言 沖縄の尊厳傷付ける暴論」(2025年5月9日付毎日新聞社説)
『レイシズム』(ルース・ベネディクト、講談社学術文庫、2020年)

